そして 東下り
座・高円寺にて 通し稽古にとりかかる。
本読みの時から、思いの外、長いことが分かっていたので、初動のときからせっせと、カットに励んだお陰で、
ただ今、2時間5分と言うところ。
小劇場にしては、長いけど、まあここまでよくがんばった。
それ以上に、いろんなことが次々に起きる話なので、退屈しない、はず だから、これで良いのだ、と思いたい。
そして、ここに来て、笑也さんと、扉座俳優の融合が、急速に深まってきた。
笑也さんも、我々のフリースタイルに、慣れてきて、自然に横向いたり、後ろ見たりするように、なってきた。
変な話だけど、
歌舞伎役者は、フツー、セリフ語りつつ、アチコチ見たりしないのよね。
たいてい客席見て、ゆったりと語るのである。
特に女形は、基本裏声だから、テンポが出しにくいし。
まして、ぽりぽりと、アタマやお尻とか掻きつつ、大事なこと言ったりすることもなんかあり得ない。
しかし
我々が専門とする、現代劇は、基本、じっとしてないわけで。
笑也さんも当初は戸惑っておられた。
でも
ここに来た以上、是非それをやって行きたいと、申し出で下さって、 我々と共に、今は、フリースタイルを面白がって、いろいろと試しておられる。
んで
意外といっちゃ何だけど、
私としても想定以上の、発見であったのが
笑也さんが、演じる、男の魅力である。
それも、時代劇の武士や貴族人でなく、現代人としての男である。
実は今回、そういう無茶な設定があるのであるが
結構、フツーのドラマでもいけるじゃない、笑也さん、という成果になっている。
主に六角と絡んでいるから、というワケじやないけど
歌舞伎刑事とか、女形刑事とか、新しいんじゃなかろうか。
難事件を、白塗りで踊りつつ解決するのである。
それはともかく
実を申して、ここまで来るのが、本当に大変な道のりであった。
年明けの
昨年秋の乱童から始まり、年末のサツキマス、乱童再演、
ラブ×3もあり、ドリル魂横浜篇、仙川の新羅生門、そして秋田のアトム、うたかたのオペラを経て、
ついに、東下りである。
角館で、アトムの演出をやりつつ、東下りを書いている時は、気が遠くなりかけていたものだ。
で
もし、これをやり遂げられたら、たぶん泣くな、と思っていた。
しかし、今、何とか通し稽古まで来てみれば。
そんな感慨にふける余裕もなく、
さらなる稽古と、次の課題、および支度が、当然のように続いていくのであった。
明日は、も一度、東下りの 通しやって
明後日は、うたかた のゲネと本番。
ともあれ、綱渡りも、後少し。がんばれ、オレ。