猫と針 ありがとう

 台風が接近する中、『猫と針』が西鉄ホールで、千秋楽を迎えているところ、のはず。

 見て下さった皆さん、応援して下さった方々、ありがとうございました。

 かえすがえすも無念なのは、この時に博多の町にいないことだ。

 この仕事をやると決めた時には、この日曜は博多にいて、皆とワイワイやって、次の日には、名古屋の『名古屋をどり』の千秋楽にのぞみ号で駆け付けて、こっちはこっちで、ちょぃとアダルト(推測にすぎないが)な感じで、
 お家元達とお食事打ち上げとかして……

 と行かぬ狸の、良い旅夢気分、気分だったのに。

 ドリル魂 が わしを厳しい現場に引き戻してしまった。
 まあ、そんな楽しいことばっかりやってたら、きっとダメな人間になっていただろーけど。

 噂では、博多にも恩田さんは、ちゃんと現れたとか。
 六本木では、わしにすがって立った、カーテンコールも、
今回は一人で、立派にやり遂げた、とか。

 にしても、一回だけならと言って、受けたはずのカーテンコール紹介。

 またやったということは、さては

 味をしめたか、恩田陸。

 劇場に響く拍手……
 この禁断の味を知ってしまったら、人間はもう後戻りはできない。

 今はもう、しばらく芝居書きなんかいいや、と思ってるかもしれないけど、
 そのうち、ああ、また拍手が聞きたいと思うようになるに決まっている。

 たまさかどっかの劇場で、他人の芝居見て、拍手が送られていると、ああ、これを私が浴びたいと、思うようになるに決まっている。

 その時、
 そろそろ、またやろーかな、なんて。
 辛いはずの、航海に漕ぎ出すことになるのである。
 
 恩田陸という劇作家の誕生に祝福を!
 難産ではあったが、よい子が生まれた、と思う。
 

 にしても、7月の稽古から、ここまで長い公演だったけど、
 そして気が付けば、秋風が吹いてたりもするんだけど。

 アッという間に、怒濤の如く過ぎた夏であった。
 
 今まで、改めてお礼をいうこともなかったけど、
 俳優をやりつつ、プロデューサー業まで立派に勤めた、岡田達也クン、
 どうもありがとう。そしてお疲れ様でした。

 もちろん、他のスタッフ、キャストにも大いにお世話になったし、みんなにお礼は言うんだけど、

 今夜は、岡田クンに。

 作品は仕上がるのか?間に合うのか?評判は?お客さんは来てくれるのか?

 そんなこと気にしつつ、毎日少しずつ出来てくるセリフを速攻で入れて、わしの無茶な注文にも応えて、演技までしなきゃならなかった日々。

 さぞストレスが襲いかかったことだろう。

 でも、あなたは何一つ投げ出さず、笑顔を絶やさず、使命をやり通した。


 その姿を、
 どっかのボンボン総理大臣に見せてやりたい。
 
 顔色の悪さなら、晋ちゃんなんかより、ずーっと前からどす黒くなってた達ちゃんだった。
 
 でも、一度も弱音を吐かなかった。休みはおろか、遅刻さえしなかった。
 毎日、舞台の掃除までしてた。
 お前、ホントよくやったよ。

 漢だ!

 
 以上、統括本部長でした。


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