好きなことを極める人

 今日は 第14期、研究所生の卒業公演
 ラブ×3の選考会を稽古場で。

 三十本弱の短編から、十本程度を選出。

 ここに至るまでに、その倍以上は没になっている。
 そこから絞り込み、そしてまたコレらを練り上げ、突き詰めて、2月のアタマに人に見せる。

 そのために
 また、寒い寒い稽古場の、熱い冬が来る。

 扉座が用意している、俳優になるための通過儀礼だ。
 
 ところで
 さかなクンさん、である。

 言ってしまえば、さかなに偏った知識を持つだけの、奇矯なる変人じゃないか。
  
 でも
 一心に、好きなことをやり通す。
 アタマに、好きなモノを乗せて、人様に笑われても、意に介さずに我が道を行く。

 その結果の偉業である。
 私が今年の前半、足繁く通った秋田の田沢湖から消えていたサカナということで、ことさらに親近感が湧いて、ニュースが興味深かった。

 好きなだけで、プロになれるモノか。
 俳優なんて、選ばれた者だけが出来ることなんだ。

 街でスカウトされることもなく、扉座研究所に入って、それを目指す者たちは
 周りの人々から、基本的にはそう言われて、この道に進むことを反対されている。

 確かにそうだけどな。
 好きなだけで、食っていけたら、そりゃいいが。
 そうはいかない現実はある。

 でもな
 まずは好きでなくちゃ、何も始まらないだろう。

 で
 好きならば、いろんなことも我慢できる。
 嫌なことを続けるための我慢は、ひたすら苦痛だけど

 好きなことのためなら、耐えられるものだ。

 さかなクンさんだって、きっとそうだったはずだ。
 きっと周りの人からは、不気味がられたり、変人扱いされていたことであろう。
 実際、変人だし、他者から理解されることの少ない人生だったはずだ。
 
 だけど、何かをやり遂げるのは、そういう人生を迷わず突き進む人なのだ、と我々は教えられたのだ。

 君は 君の世界の、さかなクンさん になれるか。
 
 もちろん、その問いは自分にもハネ返ってくる。
 さて
 我々は、何をアタマに被ろうか。


 
   

 


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