サタデーナイト
すでに舞台稽古が始まっている。
たった2日、3回だけのための公演だけど 細かくやる。
普通に比べたら、余裕があるはずのスケジュールだけど
ここに至るまでにあんまり余裕がなかったから、やるぺきことは満載
出演者も多いから、ちょっとしたオペラのリハーサルのような感じである。
そんななか、土曜日の昼の公演も、ほぼ満席に至るという報告が入る。
皆で、手分けしてお客さんを呼んだ成果である。
残るは土曜日の夜の回。
ここが埋まると、3回とも満員御礼に。
800のキャパの中劇場である。
この規模の小屋にぎっしりの観客の拍手は、かなり大きくお腹に響くものだ。
昨今の青少年センターの催しでは、滅多にないことと思われる。
そして、未来に向かう若者たちにとって、そんな拍手ほど、大きなエネルギーになることに違いない。
いろんな事情や思いを抱いて、ここに集まった若者たち、46人。
おうちが厳しくて、帰宅が遅いことを親に叱られつつ、通ってきたり、やりたい役に付けなくて、不満だったり哀しかったり、
何より思っていた以上に、稽古も作業も大変な毎日だったり、
人と人がぶつかり会うことを、皆が避けて通り、辛い現実はなるべく見ないようにして、安全な道を通ることを迷わず選ぶ、イマドキの若者たち。
そんななかで、敢えて、最も不条理にして、現実的な演劇という現場に飛び込んだ、46人である。
その異文化体験も間もなく終わる。
これが終わった後に、何が残るのか。
それは、まちまちだと思うけど
彼らが、ちょっとでも生まれ変わっていてくれたら、私たちも、大変な思いをして、各方面に迷惑かけつつ、力添えを願いつつ、無謀と無理を通して、こんなことやった甲斐があるというものだ。
