新水滸伝 と アトムからの伝言

 名古屋の初日は無事に開いた。
 ひとえに優秀なスタッフのがんばり。

 そして歌舞伎組の組員たちが久しぶりにスーパー歌舞伎を思い出したといいつつ、日にちをまたぐ舞台稽古に文句ひとつ言わずに、黙々と取り組んだ成果。

 常に優雅な、春猿さんが、あたしたち最近、楽してたからね。昔は午前4時終了とか、しょっちゅうだったんだ。こんなのそれに比べたら、なんて平然としている。
 確かに、夜明けはみなかったけど。

 韓国の若者で言えば
 軍隊経験者は強い、みたいな感じだ。
 歌舞伎組、頼もし。
 直前にかなり大きな変更をしても、粛々と受け止めて実行してくれるし。
 こういう点が、きっちりと劇団というか、一座 である。
 だからこそ、出来る作品でもあった。
 新国劇の若獅子から客演の 笠原さんも、同じく劇団で育った人だし。
 劇団力は侮れない。

 初日のお昼は、猿之助さんと舞台に出てご挨拶をさせて頂いた。新三国志以来のことだ。
 
 カーテンコールで舞台から、深紅のバラを投げられた猿之助さん。
 そんなの聞いてなかったけど、
 しっかりご自身の登場シーンも演出しておられた。

 夜の部は、猿之助さんと張り合って、客席から声をかけ続けて観た。
 大向こうというヤツ。

 わたし、昨年、笑三郎さんと作った、市民参加型歌舞伎舞台・カブキノタノシミカタ で習ってというか体験して以来、掛け声をかけるのが楽しくなってきて

 時々我慢できず、声を出してしまうようになったのですね。
 で今回も稽古中から時々、叫んだりしてました。
 変だからやめてくれ、と言われたりしつつも。

 でまあ、それは稽古場だけのことにしておこうと思ったんだけど
 なんと、ゲネで、猿之助さんが、声を掛け始めた。

 右近っ、とか、おもだか屋っ とか。

 自分ちの名前だろうに。
 当たり前だけど、良く通る、良い声でね。
 思えば、猿之助の掛け声とは、贅沢なことで。

 もっともそれに理由がないわけでもなく、今回の舞台では、盛大に拍手や掛け声を頂こう、というのが目標であったのです。
 客席と舞台が一体になって熱くなる公演にしようと。

 そのために、舞台からはみ出して、通路や客席でいろんなことが起きるようにしている。
 
 声とかあった方が、しっこりくる舞台なのである。
 ただそれはゲネだけかと思ったら、本番になったらむしろ旦那はパワーアップして、声を出し続けていた。

 こうなったら、世話になってる旦那にだけ苦労はさせられぬ、というか、じっとしてられなくなって、
 気が付けば、ワタシもわあわあと、叫び続けておりました。
 結果、終わった時には、声が枯れていた。
 でも実に楽しかった。

 にしても、演出がふたり、お客さんを差し置いてわあわあ叫んで楽しんでいる舞台って、どうなんだ。

 出来れば、今後は、お客様方に、わあわあやって頂きたいと思います。

 ホントに、そういう舞台なので、どうぞ遠慮なく、お騒ぎ下され。作ってる側が、何しろそうやって楽しんでるんで。

 そしてその方が俳優もノって、更に舞台が熱くなって結果、お客様が得をします。
 難しいことはなく、役者の名前、モロ呼び で良いのです。
 エミヤっ とかね。

 その後
 ホテルで、猿之助さんを囲むお食事会にお呼ばれ。
 一門の人たちとともに。

 途中、こういう会では、初の試みの抽選会があった。
 当たると猿之助さんがセレクトされた逸品を頂戴できるという、素晴らしい企画。

 途中、興奮して完全に子供みたいになった猿弥が、バーバリーのTシャツを見て、それ欲しいと叫ぶと、何と本当に猿弥に当選。
 叫んだ方が良いと噂になった。
 おもだかの掟は、気合いと叫びだ。
 熱く、どん欲に、もっともっと、と。
 
 試しに、その後出てきた、同じくバーバリーのパーカーがとてもステキだったので、
 
 それ欲しい

 と大声で叫んでみたら。なんとなんと、ワタシに当たった。
 信ずれば、夢はかなう。

 こんなとこまでしゃしゃり出て、どうなんだ、弟子に回せよ、とちと思ったけど、本当にステキだったので、
 手放さず、強欲に、ゲット。

 ついでに、裏地部分に、猿之助さんにサインまで頂いた。
 もちろん一生の宝物となりました。大切に、でも使い倒させて頂きます。
 付け加えると、その後、旦那愛用の時計も放出された。
 それはやはり一番先に大声で

 それ欲しい と叫んだ
 猿三郎さんに当選した。恐るべし、おもだかミラクル。

 それやこれやで幸せな夜であった。
 しかし思えば
 
 つまるところ、ワタシは、猿之助さんのファンなんだね。

 最近は、末の弟子とか言ってることも多かったけど
 というより、早い話がファンなんだと、今回改めて思った。

 ただ俳優としてだけでなく、演出家、クリエイターという部分でも大フアンなのが、ちょっと普通と違うかもだけど

 今回の舞台は、かなり旦那テイストで仕上がってると思うけど
 特に指示されてない部分も、自動的に旦那の演出っぽくなっている。
 というか、もうカラダに染みついてる。
 組員はもちろん、このワタシにも。


 そして昨日、帰郷。そのまま錦糸町の稽古場に。
 追い込みの時期に稽古場をこんなに留守にしたのは初めて。助手の、田島がしっかり留守番していてくれた。

 でもこの時期に離れたことで、逆に新鮮に見られて
 あれこれと新たな思うところが出てきた。
 発見も多々あり

 急遽手直しを。
 それやこれやで、疲れはピークですが、名古屋のカーテンコールで頂いた拍手の栄養で、気力は充分であります。

 次は厚木と新宿と札幌で頂く。

 
 
  
  

 
  

 
 

 

 


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