きらら浮世伝 を観た
ドラマティック・カンパニー と言う劇団がある。
有名声優の 中尾隆聖 さんらがやっていて、創立20年というベテラン集団である。
中尾さんは 盟友・三木眞一郎 の先生だったという方で、以前、
私の『夢の海賊』も上演して下さっている。
その劇団が、日曜日まで 新宿シアター・サンモールで
『きらら浮世伝』を上演してくれている。
これを今夜、稽古をちょいと早めにトッて、見に行った。
花組芝居の 水下きよし 氏の演出である。
これが、とても良かった。
自作で、そんなに無邪気に喜ぶのも、感じ入るのもどうかと思うが、
素晴らしいと思った。
数カ所、アレレと思うところがないではないが、それは
25年前に 私が書いた脚本の、至らなさに大いに原因があって、水下さんも、劇団も 実に良く、仕上げて下さっていると感謝した。
そして 泣いた。
泣いたのは、まあ、歳をとってここまで来てしまった、オッサンの おセンチ というものであろう。
何しろ、20代の終わり頃、これで殺されても仕方ないと思いつつ、その時の死力を尽くして書き上げた作品である。
その上に、この作品によって、今日に繋がる、いろんな宝を授けて貰った。
人々や、仕事、名誉とか、何よりも深い深い経験を。
しかもあの時の、作品創りに関わっていた人の、少なからぬ数の恩人たちが、今はもう故人となられている。
セリフを聴く度、動きを見るたび、いろいろと、物思わずにおられぬのだ。
それぐらい没頭して、観ることが出来たワケで。
ダメな公演では、自作である分よけいに、そんな余裕は生まれない。
良い公演だとしみじみ思う。
目下、こちらはまた新たな真剣勝負の最中で、この公演のことなんか忘れかけていたのである。
でも、ふと思い出し、というか、まったく別筋から、この公演観たよ、良かったよ という言葉を耳にし
そうだった と慌てて諸事繰り合わせ、駆けつけた テイタラクである。
本来なら、宣伝協力とか、しかとしなきゃいけなかったのに。
しかし、間に合って良かった。とにかく観られて良かった。
もう明日、明後日しかないけど、
皆さんに観て頂きたいと思う舞台である。
そしてそして、この舞台に負けてられぬと、思った私である。
