渋谷、高円寺
さて今日から、渋谷コクーン劇場では『影武者独眼竜』が開幕する。
大阪初日からだいぶ空いた感があるが、オリックス劇場からぐっと小ぶりな小屋に移って、きっと迫力も増していることであろう。
だろうと、推測形なのは、私は高円寺の公演にずっとかかりっきりだったから。
昨夜、『端敵☆天下茶屋』が開いた。
友人たちも大勢来てくれました。
なかでも『つか版・忠臣蔵』の山本亨氏の顔を見て、そうだったそうだったと、大事なことを思い出した。
★こっからは、舞台を観てない人や、これから観る人には分かりにくいカモだけど、
そして芝居の中味バラシでもあるので、楽しみにしたい方は飛ばして下さい。
お芝居の冒頭で、
普段悪役やってる悪党顔の方たちが、正義のヒーローを演じようとしているというエピソードが出てくるんだが
実はコレは実話である。
しかもそこに私が関わっていた。かれこれ二十数年前、初めて舞台の仕事で、まとまったギャラを頂いた、記念すべき作品だ。
ジャパンアクションクラブ新鋭公演『七人の戦士』というもの、
サンシャイン劇場だった。
私は脚本のリライトと、演出補を依頼された。
ちなみにこの舞台で照明家・塚本悟氏と出会って、以来今まで付き合いが続いている。
そういう意味でも記念の舞台。
出演はサニー千葉こと千葉真一の弟子たちの名うての、スタントマン、アクション俳優たちだった。
で
この人たちが、普段は斬られ役とか、主役の吹き替えとかなんだけど、
この舞台では、メインを勤める舞台をやるのだという企画だった。
その企画はメンバーたちで起ち上げたのであったが、
それが、
ならず者たちに荒らされる、海辺の街を、雇われた7人の正義の味方が命がけで守り抜くという
荒野の七人 の完全なパクリ、アクション活劇なのだった。
売りは、当時、ジャックの専売特許だった、
壮絶なるアクションである。
しかも、名うてのスタントマンたちがメインでやるのだ。
ただ
その名うてが7人も正義になってしまうために、悪が不足した。
本来、悪役で最も輝く人たちが、大挙して正義になっちゃったんだから、仕方ない。
で研究生10数人が駆り出されて、悪の軍団を形成したのだった。
そして7人の正義に、何度も殺された。
大先輩たち相手に、研究生が挑む、その稽古は過酷を極め、けが人は当然のこと、ついには逃亡者も出たのだった。
実はこのエピソード、エッセイ集にも載せてるけど。
『考えて夜も眠れない』
ロビーにて絶賛発売中。
で
その本番を、中日過ぎに見に来た、千葉総裁が、
直立不動の関係者一同に対して言われた、お言葉が
悪が弱すぎるよ。誰か、悪に回れないのか。
だったのである。
私は、演出側スタッフの代表として、そのお言葉を賜ったのであった。
そんなこと言われても、もはやどうにもならぬ、状況だったのであるが。
でででで
なんとその7人の戦士のなかに、当時、真田広之の後継者と噂されていた、
若き日の山本亨氏がいたのである。
亨氏の役柄は、パンチを受けて脳に障害を持つ、子供好きの元ボクサー。
懐いてくる、海辺の街の子供たちを救うために、最後は逃げ遅れた子供たちを、襲い来る、脳の痛みと闘いつつ、守り抜いて、犠牲となり果てたのだった。
その亨氏が、とてつもなく格好良かった。
これだけベタでカッコ良いって、凄いことだと思わぬか。
昨日、初日のパーティを、劇場2階のアンリ・ファーブルでやらせて頂いたんだけど
そこに亨氏がいてくれて、実に感慨深かった。
いっそのこと、出て貰うという手もあったか。
パンチの後遺症に苦しむ、子煩悩の元ボクサー役で。
それはムリだけどな
亨さんは今、11月にスミダパーク・マルソウでやる舞台の稽古中で、その休みに駆けつけて下さいました。
さてさて そんな
『端敵☆天下茶屋』いよいよ、スタートしました。
劇場2階の、カフェ・アンリファーブルは、
終演後も、ゆっくりとお酒やお茶が楽しめる、ステキな場所です。
昨夜は、素晴らしいケーキをブレゼントして下さいました。
ここは故・斉藤憐氏が、劇場にはこういう場所がないとダメなんだ、とこだわり抜いて作った、スペースです。
その通り、良い場所だ。