龍が飛んだことと、狭いバックステージの話

 昨夜は、渋谷にいた。
 『影武者独眼竜』の東京初日。

 にしても、『端敵☆天下茶屋』とドンかぶりの公演日程。あらためて、ここまで被らなくてもと思うほどに。

 コクーンに移って、そして大阪で、何度もやって来て
 芝居のテンポが実によくなり、俳優たちも、伸びやかに芝居をしていた。
 ぎゅっ、と凝縮されて、締まった舞台になったと思う。
 大阪初日から、だいぶ、間が開いたけど、大きく進化した舞台が観られて、とても気分が良かった。

 にしても
 やっぱり、演劇は芝居小屋でやるものだなと。

 オリックス劇場のスケール感は、
 スター演劇ならではの興奮と楽しさがあったけど、ドラマを見るには、ちと広すぎた。

 立ち回りが、舞台から溢れ出そうな、このぐらいの舞台で、
 おお、龍が飛んだ、という感じにリアルになった。

 早いパスを回し合うような、岡村の演出も、ここではすごく効果的だ。


 終演後、
 扉座出向チームと、メシを食いに行った。
 大阪でも、ロクに話も出来なかったからな。

 何しろドンかぶりなので、彼らは、ちょっと見捨てられたみたいな状態になっている。
 決してそんなことはなく

 大人気の舞台で、それぞれに大役を担って活躍しているんだけど、
 何しろ、劇団員が、彼らの方に寄りつかないのだそうだ。
 行きたくても、どうにも行けぬ、かぶりスケジュールの者が大半だし。

 しかし
 そんななかでも、昨夜の劇場で
 天下茶屋 にも行きますよ、と私に声を掛けて下さった、お客様が数名おられた。

 決して完全アウェイじゃないぞと、励ました。

 にしても
 ま、そもそも規模は違うのであるが

 コクーンのバックステージの狭いこと。
 開演前にひととき、いたけど、廊下まで衣裳が占領し、人と話す場所もない。
 仕方ないから、ほぼ立ち話だ。
 行き交う役者、スタッフとぶつかりつつ。

 オリックス劇場では、みんなでメシ食ったり、だべったりする広場みたいなスペースがあったものだが。

 で
 このオリックス劇場というのが旧厚生年金会館なのである。
 会館を買い取ったカタチだろう。

 広くて快適な裏スペースとは、その実、国家予算が投じられた無駄スペースであったとも言えるわけで

 民間企業が採算などを真剣に考えたら、
 コクーンのような構造の設計になって、当然なんだと思う。

 狭い楽屋、バックステージは歓迎出来ないが、でもこうしてちゃんと公演は出来るし、
 やっぱりコクーンて見やすくて、芝居のことをよく考えた劇場だなと思うもの。
 

 規模が違うから単純に比べちゃイカンが。

 でも、そんなことを雑然とした舞台裏で、ひしめきあって支度するスタッフたちの姿を見て考えた。

 ちなみに高円寺は、これまた裏が広々だ。
 それでとっても快適。

 やっぱり、公共劇場です。

 だからこそ、我々もしっかりやらなきゃなのである。
 こんなに贅沢な劇場がある、その効能を、我々が世にしかと示さねば、
 またまたまた、お上の都合で、かるーく仕分けされてしまう。

 そうさせてはならぬ。

 コクーンで声を掛けて下さった皆さん、ありがとう。
 良かったら、
 高円寺の扉座も観てみてね。

 独眼竜 で初めて芝居というものを観て、今まで食わず嫌いだったエンゲキに興味が湧いてきた、なんて言われると
 本当に嬉しくて、頑張ろうと思えます。



 
 


 

 
 

 
 
 
 


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