花組芝居の25周年

 菅原伝授手習鑑 というやつを、加納幸和率いる、花組芝居が、あうるすぽっと という東池袋の劇場で上演している。

 とっても久しぶりに花組を観た。
 25周年なんだ。

 ネオかぶき というキャッチフレーズで、一世を風靡した劇団。
 加納さんは、旗揚げ前、1、2年ほどうちの劇団に続けて客演して貰ってた。
 新劇にも、歌舞伎にも強くて、創生期のメンバーは、芝居のいろはをこの方から伝授して頂いている。

 しかし、もはやネオじゃないな。
 これはもう、大歌舞伎である。そりゃ劇中、ジャズとか、流れてくるけれど、
 おもだかや の座付き作者の石川耕士さんのホンで、役者もみんな、歌舞伎言葉が身に付いていて

 声と音が歌舞伎だもの。

 なんて、歌舞伎を知らぬ私が偉そうだけど、心地よくて快適にセリフが耳に入ってきた。

 むかしは、素人の耳にも、もっと下手くそだったと思うけど、
 四半世紀の重みであろうな。
 
 衣裳も、カツラもしっくり、まとまってて、それでいて加納さんのアート感覚満載で。
 
 長くやってる劇団て、うちもそうだけど、あって当然、でワリとスルーされがちで、
 んで、ずーーーーーーーっと前に観ただけなのに、よく知ってる、すでに解決済みみたいに、思いこまれて

 損な役回りよね、と思うんだけど。

 花組芝居もまさにそうだな。
 こんだけスゴイことやってるのに、世間はちと、それを理解していなさすぎないか。

 挨拶しに舞台裏に行ったんだけど
 その衣裳とカツラの物量と品質のすごさ。
 スーパー歌舞伎級である。
 
 それを、独立した劇団がやり遂げているのだよ。
 
 劇団公演をやるたびに、もうそろそろ辞めよう、と思っているワシである。
 とりあえず、来年の予定があるから、そこまで頑張るみたいにことで、フラフラしつつ、ここまで来た。


 今日の舞台で加納さんは、立てなくなるまでやるって言ってた。
 アタマが下がります、呆れます、怖くなります。

 正直、劇団をこんなに長く続ける苦労を身に染みて知っていて、深く語り合えるのは、この日本でも数人しかいない。
 加納さんは、大事なひとりなんであるが
 その境地は、とうてい、真似できない深遠なモノである。

 倒れるまで歩き続けた、ブッダか芭蕉か。
 
 私も頑張ろうと思う以前に、カーテンコールの神々しいお姿に、思わず合掌した私であった。

 花組芝居25周年公演、たぶん日曜日までやってるはず。
 彼らの現在をぜひ観てあげて欲しい。

 あの頃の小劇場の、未来がここにある。

 

 

 
 


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