久保薗千恵の半生

 強化週間です。まだまだ、お披露目会、お誘いしています。参加ご希望の方、急ぎ事務所に連絡して下さい。劇団員に直に知らせるでもケッコウです。

 今回の舞台、ストーリーもちゃんとあります。
 簡単に言えば、ひとりの女の半生。

 その名も久保薗千恵。架空の人物ながら、かなりリアルな存在。というのも、私がコレまで見聞きしてきた、いろんな人の実話エピソードを、この中に書き込んだから。

 三十過ぎで独身の久保薗千恵は、足立の縫製工場で、バイトしつつ、時々、廃れた繁華街のライブハウスで、クボゾノチエ・ショウ を開催するシンガー&ダンサーである。

 そのショウが、この舞台になっているんだけど

 そこでこの女の半生が分かっていくという仕組み。
 この人が、紆余曲折しつつ、ずっとバイトで生きてきた、というワケだけど。
 ま、この東京に住んで、芸術とか芸能の道をゆく者は、ほぼ全員そうなわけで。

 そういう意味では、かなりドキュメンタリー的なことなんだけど、
 それをモロに芝居にしたら、あまりに小さな話となり、同時に身につまされ過ぎて、何もわざわざ芝居で見なくても、という感じになる。

 でもそこに歌や踊りが入れば、かなり違うことになるんじゃないか、と。
 で実際、違うことに仕上がりつつあって、改めて、音楽やダンスのチカラを思い知らされているところである。

 なんでこんなことしてるかというと、

 今伝えたいことがある。これは主に、私と音楽監督・桂子さんと、ラッキィ・えりさんから、というか。
 舞台やショウビジネスの世界で、やってきた先輩たちから。
 バイトしつつ頑張ってる人たちにね。

 まだそんなこと、言える立場じゃないと、ずっと思ってきたけど、気付けば我々ももう、中堅の位置も超えていて、そろそろベテランのカテゴリーに入ってゆくわけで。
 劇団は97歳だし。

 そろそろ言ってもいいかな、と。

 この時代で、やりたいことが分からない、なんていう若者が多くいて、そのこと自体が、現代的なテーマとして、よく追求されるが
 我々は今、そんな人たちにではなく
 やりたいことがあって、望むことが胸の中にあって、そのために必死にやってる人たちに、
 もしくは、自分の進むべき道に真剣に思い悩んでいる人たちに。
 親愛の情を送りたいんだ。
 決して応援なんか出来ないけど、イエス、というメッセージを熱く送りたい。

 そしてそのメッセージの送り先というか、対象が舞台上にもいるというのが、ミソ。
 扉座の若者たちね。
 
 昨日も言ったけど、ミュージカルという表現はステキで、楽しくて、美しくて…… 
 素晴らしすぎるものだから、ミュージカルに触れると言うこと自体が往々にして、目的化する。

 何をどう表現するかではなく、ミュージカルをやることに血道をあげる傾向。
 もちろん、生半可な努力、才能じゃ獲得しきれない特殊技能の樹海だよ、ミュージカルの世界は。

 ただわしらはな、

 その前に、今、言いたいことがあるんだ。伝えたいことがさ。
 そのために、この作品をミュージカルとして創ってる。
 
 ストレートプレイにも、私の場合、常に言いたいことは込めてるんだけど、
 それじゃちょっと、生々しすぎて、言いにくいこと。

 今回は歌や音楽のチカラを借りて、素直に語りかけたいと思っている。

 それが日本語で創る、ミュージカルの意義だと信じて。

 
 たとえば 愛 という言葉。セリフで書くときは、かなり慎重になるし、私はなるべく使わないように勤めてる。
 でもね、それを歌に乗せるとき、たった二文字で、深い深い思いをそこに込めることが出来てしまう。
 魔法の言葉だねとつくづく思う。やっぱり、愛だなとも思う。
 
 その言葉が美しいメロディに乗って、ソウルのある歌い手が歌う時、もはやセリフでは表現できない何かが、そこに確かに湧き上がる。
 
 ミュージカルがクセになるのもよく分かる。
 そんなチカラも、大いに借りて、伝えたいことを伝えようとしています。

 劇場でお会いできるのを楽しみに。
 
 まずは28日、お披露目会ね。
 簡単なお茶もご用意致します。


 

 
 
 
 
 
 



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