座高円寺

 稽古場が、座・高円寺に移動。ここで東京千秋楽まで過ごす。
 今回は先に東京公演で、厚木が後。
 お間違えなきように。

 ところで、高円寺。
 実は私の生誕地である。
 昭和三十年頃、秋田出身の父と、北九州出身の母が、東京で出会って、結婚して最初に住んだ。四畳半一間みたいなことだったらしいが。
 三歳の頃、父が大阪に転勤になったから、ほぼ記憶がないが、小さい頃、よく高円寺の話をしていたものだ。
 だから何となく、ここもホームタウン。
 
 劇作家協会が協定を結び、私が担当している戯曲セミナーも、ここで毎週開催されている。この劇場が建って、高円寺と縁が出来た時、勝手に運命を感じたものだ。

 でも、実はなかなかピンとこない。

 何しろ記憶がない。
 この目が観て、耳が何かを聞いた場所には違いないから、どこかに何かが残っているのかもしれないけど。
 ともあれ、母の故郷・小倉が、本籍地青森が、父の故郷・秋田が、青春の場所・厚木が、しばし住んでた大阪が、私の故郷とか行くごとに挨拶しておきながら
 出身地は、東京となっているのは、そんな事情である。

 そして直虎。
 これは、遠江・井伊谷の人。浜松あたりだね。
 私、ここには、何の縁もない。
 静岡県の依頼で創ってるみたいな題材なんだがな。

 あくまでも勝手にネタにして、今回の話をこしらえている。
 基本は史実に沿いつつも、かなりの部分、でっち上げでやってるから、地元の人に知られたら怒られるかもしれない。

 しかし、今回ネタ探しをして、みつけ出すまで、戦国の井伊に、そんな女武将が実在したことを、私は知らなかったわけで。
 メジャーな人物とは言いがたい人である。

 それを、有森也実さんが熱演するのだから、直虎も喜んでくれるだろう、
 と、これも、勝手に決めつけている。

 稽古、佳境です。
 今日は厚木から、子供俳優たちが来て、稽古。

 舞台アカデミーの生徒たちが数名出演するのである。
 扉座初の子役登場である。

 しかし彼らも我が弟子である。
 頼もしい。

 そして乞うご期待。


    
  
   
  

 
























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