胸に刻むよ  いとしの儚

 今年は一本しか劇団公演がないからか。
 古い作品だけど、儚 は結構有名な演目だからか。
 珍しく、チケットが順調にハケておりまする。

 とはいえ、まだまだ余裕のある日もたくさんございますので、十五年ぶりの扉座版『いとしの儚』お見逃しなきよう、早めのご予約をお願い申しあげます。
 こんとこ十年ぐらい、ずーーーーーーっと、今後いつまで扉座が見られるかは分かりませんよ、とお伝えしていますが。
 それは決して、ホラではなく、
 ホントに、いつまであるか分かりませんからね。三十五年間、ずっと同じスタイルでやってるなんて、おかしいんですから。

 今回儚役をやって下さるMEGUMIさんは、かの大乳アイドル軍団イエローキャブの売れっ子グラビアアイドルで、その後、遠慮のないトークで一世風靡した、バラドルでもありました。2、3年は売れすぎてロクに睡眠もとれない時期もあったそうです。
 今で言えば、さしこさんみたいに。 

 ただその頃、同じ巨乳軍団の先輩、山田まりやさんが出た、扉座の『イチゴ畑よ永遠に』という舞台を、お義理で見に来て、しかし、そこで思わず号泣することになり
 いつか私も舞台をやるんだ、と胸に刻み付けたのだそうです。

 この話、私が盛ってる部分はひとつもなく、ご本人が公言しておられます。

 歴史的因縁を思うのは、その まりやさんもその昔、たまたま若き日の山中崇史とFM東京のラジオ番組で一緒にMCをやっていた時に、スズナリで公演した『無邪鬼』に誘われてきて、
 その時烈しく心揺さぶられ、
 いつか私も、こういうことをやろう、と胸に刻みつけたということです。

 ここで中締めの結論

 『扉座の芝居は、巨乳軍団の胸に、深く刻み付けられる!』

 それはともかく
 この作品の主人公鈴次郎がストーリー上、お乳を愛する男という設定だから、MEGUMIさんに来てもらったのか、と、とある友人にニヤニヤと指摘されましたが

 とりあえず私の代表作ともなっている芝居で、そこまで軽薄にやれるはずもなく
 とても真剣に考えての結果です。

 この真面目な弁解が、かえって怪しいか?
 本当だ。
 信じてくれ。
 
 実は、昨年のある時、MEGUMIさんとお会いする機会があり、
 その時、一瞬誰だか分からなかっのですね。
 何か、すっげー良い女だけど、誰だったっけ、というのが実感で。

 おお、あのグラドルのMEGUMIさんかあ、と分かって軽くショックを受けました。
 すごい大人の色気と、でも清潔な穏やかさが漂っていてね。
 若い頃の彼女は、テレビの中で、大人や権威に、無礼なことも平然と言って、けれどそれが機転が利いて面白いというタイプの、少し生意気な小娘でしたから。

 結婚して子供が出来ていろいろ変わりました、と言うその姿が、ステキな大人だった。
 確かそこで、イチゴ畑のことを聞いたと思う。

 でも正直、まだ疑いは私にも残ってて
 とはいえ、演劇経験は浅いはずだし……と。

 で、今回の公演を見据えつつ、すでに大きな仕事のキャリアもある女優さんに、小劇団如きが、失礼なことと分かりながら、一回テストさせて頂いて宜しいでしょうか、と申し出た。
 すると、それを快く受け入れてくれて、
 今後の為にも、ぜひテストして頂きたいと。
 実に真摯に取り組んでくれて。

 そのテストで、 MEGUMIさんにお願いしようと決めたのでした。

 そんな儚、間もなく開幕です。
 
 エロい部分を、あんまり手加減したくなかったので、今回は中学生以上の縛りにしました。この物語には、sexがとても大事なモチーフで
 そこをあんまりぼやかしたら、分からなくなるところがたくさんあるし。

 厚木で育成している子供たちから、何で今回は見ちゃダメなんですかあ、とブーイングを受けましたが、小学生は、も少し大人になってから。
 中学生も、しつかりした大人が付き添って、 
 たぶん根本的に突きつけられる質問と向き合ってあげて頂きたいと思います。

 さて大事なことをもう一度、

 我々は、胸に刻むんで、覚悟してください。


 

 
   
 
   
 
 
 
  

 


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