キャラメル

 昨日は、キャラメルボックスの公演を見に行った。
 千秋楽の公演である。

 岡田クンとか、坂口さんとかが出ていた。
 あの暑い『猫と針』の日々が嘘のような、冬のしかもクリスマスである。

 ちょー満員であった。
 熱いお客さんの多い劇団である。

 そして皆さん、ここまでにだいたい3回ぐらい見てる様子で、
 骨の髄まで楽しんで、堪能している感じであった。

 楽なんかに行ったら、熱い熱いファンの中、完全にひとり取り残されますよ、そして、カーテンコールとかやたら長いですよ。

 いろんな人に言われていた。

 でもそう言われると、余計に行きたくなる天の邪鬼で、
 迷惑覚悟で、敢えてこの日にさせて頂いたのだ。

 猫と針 の時とは違う、岡田クンや坂口さんがいた。
 演技法が全く違う。
 キヤラメル様式、とでも呼ぶべき独特のスタイルだ。

 セリフの間を空けず、とにかく声を張ってハッキリ、クッキリ表現する。
 片時もダラダラしない。
 
 正直言って、私は、もうみんな大人なんだから、もう少し、スピード落としてもいいんじゃないか。余白のようなものが、もっとあってもいいんじゃないか。

 と思うけど、

 これはまあ好きすぎで、
 コレが好きな人には、たまらないのであろう。
 
 実際、好きでたまらない人たちで、補助席までギッシリなのである。

 にしても、器用なものだと思う。
 キャラメル様式と、もっとダラダラしたのと、岡田クンも、坂口さんも、両方使いこなしている。

 そして昨日は、キャラメル色の二人。
 なんか、キラキラ光線を発していた。
 
 そんでなんだかんだ言って、やっばり、この世界が好きなんだろうな、と。
 そりゃ、あんだけ熱いお客さん達に、さあ、キャラメルワールドを見せてと迫られれば、
 張り合いもあるだろうし、ノッても来るだろう。

 ダラダラも達者に出来るんだけどね。
 本籍はキャラメルボックスなんだなあ、と思った。
 
 それは、誇っていいことなんだよな。
 だってこれだけ多くの人に愛されているんだから。

 またしても、客席で深い嫉妬を感じた私であった。

 とはいえ私、
 別に取り残されもしなかったし、カーテンコールを長いとも感じなかったな。
 何しろ、客席が、特別な日という気配一色で、

 こちらも、特別な日に巡り合わせた、というお得感を感たものよ。

 芝居的には、ここでもやっぱり、清く美しいのが好きなのは分かるけど、もうちょっとリアルがあってもいいだろう。
 登場人物たちが、おしなべて善意で生きていて、それが逆に不安になってくる、という感じがしたのだけど……

 そもそも、何かにトリツカレて、オーナーに連絡も入れずバイトに遅刻してくる主人公を、愛する以前に、

 世の中嘗めるんじゃねえ!

 と説教して叩き直してやりたくなってる時点で、トリツカレワールドから落ちこぼれているのである。

 しかし、
 岡田クンたちが発する芝居の熱と、それを愛して止まない観客達の熱気が、
 極甘のファンタジーを力業で、この世にしたたかに存在せしめていると思った。

 おそらくこれは唯一無二の、世界であろう。
 そんな世界故に、強烈な独自スタイルを演技的にも確立しているのだ、と思う。(ちょっと演劇的に語るとな)
 
 一度ハマったら、出られなくなる、世界かもしれない。

 そこでわしが、キャラメルボックスにハマったら、面白いけどな。

 実際にハマったのは、モー平であった。
 本名・横内モーツァルト君だが、あまりにアチコチ、シッコかけて回るので、モー!とかモー平と呼ばれるようになったバカ犬である。

 千秋楽で、配られた特製キャラメル(クリスマス恒例で、オリジナルなんだぜ!)を
 テーブルに置いておいたら、
 勝手に椅子から飛び乗っていって、
 
 数個、食っちまいやがった。

 わたしはモーの囓り後のついたヤツをさっき頂きました。

 混じりっけなく甘いっす。



 明日は、若者の

 ラブ×3 の選考会。

 またも長時間の闘いか……


 

 

 
 


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