目下の活動
断捨離とダイエットを始めた。
私の場合、戯曲執筆で痩せて、稽古~本番で太る。
だから、ダイエットに一番良いのは執筆だが、今は仕込みの時期で資料などを読み続ける日々。(本当なら、大作をバリバリ書き出してた頃なんだけど……(涙))
それでこの引き籠り生活だから、何もしないままで行くと、指数関数的にブクブクになると思われ、修行だと思って、低カロリー生活に切り替えた。
ちなみに稽古で太るのは、じっと座り続けで稽古を見続け、その間に、お茶場のお菓子とかツマミ続けて、稽古後には低価格、高カロリーが基本の演劇人酒場に行って夜更けまで、ガヤガヤやるからである。
本番中も、皆で繰り出し、夜更けにあれこれ食うのがいけない。
執筆も座りっきりなのに、こっちは痩せる。
一説に頭を死ぬほど使うからだと言う。確かに、じっとしていても、書いている時、頭は常に沸騰している気がする。甘いものが欲しくなって、チョコなども摘まむんだが、それでも太らない。
同じく座りっぱなしでも、演出は大半の時間が観てる時間だからな。
考えて来てことを、リクエストするわけで。大勢集めた稽古場で、そんなに長く考え込むわけにもいかない。山田洋次監督は、撮影を止めて半日、考え込んだりすると言う噂だが。
巨匠になったら、稽古場ダイエットもありかもしれない。
まだ、それほど効果は出ていないけど、次の稽古が始まる頃には、昔のズボンがすっきり履けることだろうよ。
断捨離は、いつかやらなくてはとずっーーーーーーーーーと思い続けて、なかなかその余裕がなくてできなかったこと。
今の家に移る時に、特注でかなり大きな本棚を作ったのだが、ここ数年、そこからも本が溢れ始めていた。
本とか資料とか、よく分かんない雑貨とか。パッと見て、迷ったら捨てる方針で、臨んでいる。
いつか必要になるだろうと思ってとっておいたけど、10年以上必要のなかったものなど、結構ある。長く生きると、そういうものが実に多い。
思い出の品みたいなのもあるし。
やがて引退の時を迎えて、穏やかに家で過ごす日々が来て、昔の資料など読み直して懐かしく思い出すのだろう、なんて思っていろんなものを捨てずにいた。
しかし、今回は、情け容赦なく捨て始めた。
ちょっと考えが変わったんだ。
新型コロナのせいではなく、この2月のオヤジの死がキッカケだ。
58年生きて来て、人の死と言うものを、初めてじっくりとみつめた。末期ガンで、治療しない緩和ケアという病棟に居て、なおかつ幸せなことに、父は死の前日まで意識があって言葉を使っていたから、こちらも伴走しつつ、アレコレと考えることもいろいろ出来た。
それで思い知った。人間死ねば丸裸だよ。
どんなに大事にしても金は持っていけないし、思い出グッズだって、棺桶に入れられるのは僅か。
思い出写真も基本、棺桶に入れてはダメだからね。そこに写ってる人が連れていかれるなんていう、タブーがある。そもそもすべて焼けて灰になるだけなんだから。
言葉では分かっていても、すべてを間近で見届けると、そのリアリティが違う。
それと、
これはうちの父が少し、常人と違うところのある人だったからなのかもしれないが、
最後の最後まで、明日のこと、時にはずっと先のことばかり考えていたからな。
私たち家族がしんみりとなって、思い出話なんかし始めて、あの時は楽しかったねえ、なんて振り返っても、そういうくだりは、ああ、と簡単に受け流して、
それで明日は誰がここに来るんだ?何か手土産を用意しろよ、と明日のことを必死に話し始めた。
彼には、見舞われることさえ、イベント的な予定行事であった。
予定が大好き。
段取り、仕切ることが好き。
旅行に行っても、旅館に着いた途端に帰るルートや、予定を発表する。
典型的な、男の子脳の持ち主だった。
私はそれほど極端じゃないとは思っているけど、その血が流れていることは折々に自覚する。
過去よりも、未来が好きだ。
たとえ引退しても、それでも何かやれそうなことはないかと、ジッとなんかしちゃいないだろう、きっと。
実は、昔の舞台のビデオを楽しむことさえ、私は上手く出来ないんだ。
その時間に、次のことを考えていたいと思ってしまう。
たまに振り返ることがあるのは、次への準備のためである。
ただ、今のところ、捨てるより残す方針にしたモノが一つだけある。
それは、芝居のパンフレット。
自分が関わったもの以外でも、お客として買ったもの、頂いたものを、すべてとっておくことにした。
物心ついて以来、40数年、いろんな芝居を見続けて来た。
パンフレットそのものが、現代演劇史のような雰囲気を出している。私が死んだ後、これだけは、誰かに譲ろうと思う。演劇人たちが、この時代に輝いた証だからな。
そしてそのパンフ専用棚には、敢えて大きなスペースを作ってある。
これからも、ここに、たくさんのパンフが集まって来るように。
とりあえず、元気でやっています。